初めての中継リポートの時は、神経が太いと言われる水谷もやはり緊張したが、最近は、毎日のように出番があるので、慣れてしまった。
最近は、デスクに原稿を「官邸を刺激しないもの」に直されるのが腹が経つ。報道機関の自主性ってどこに行ってしまったんだろう。最初は散々抵抗したが、最近は諦めてしまった。
あまりに露骨な時は、アドリブで変えてしまう。デスクにはだいぶ問題児扱いされているが、一応は「使える」と思われているのか、今のところは干されていない。、
ローカル(地域)枠とネット(全国)枠、2回の中継が終わり、ほっと一息。総理の会食の同行で出かけた岸本から、「」お疲れさま!」とメールが入った。
会食の同行といっても、もちろん中に入れるわけもなく、終わるまで外で待ち、出てきたところで、どんな話をしたか同行者に聞き、メモをデスクにあげるだけなので、これはこれでシンドイ仕事。
さ、夜回り前に、御飯だ!
キャップが珍しくお弁当をとってくれていた。しかも、オゴリ。また、何か頼まれるなと嫌な予感がするが、この際、気がつかないふりで頂くとする。
今日は、首相補佐の加藤のところへ。
加藤は最近結婚したばかりで、そのせいか帰りが早くなった。9時頃から待ち構えていなければ
ならない。
水谷には同じ報道局に彼がいるのだが、最近はお互い忙しくて全然会えない。加藤が少し羨ましくなる。
記者会館の廊下に出たら、HHKと読読新聞の記者が何やら、ひそひそ話。水谷を見て慌ててそれぞれの部屋に戻っていった。「ちっ、また談合?」と心の中で毒づく。
城田総裁の容態について続報が入る。公務復帰まではしばらくかかるようだ。しばらく「異次元の金融緩和」はお預けとなると、明日の株価に影響はあるんだろうが?
さあ、明日は総理会見。「消費税再増税先送り」と「解散・総選挙」の発表だ。ゆっくり食事ができるの今日が最後だろう。
そこにデスクから、電話が入った。(⑦に続く)
注;この小説はノンフィクションであり、登場する会社、人物などは全て架空のものであることを御承知おきください